刈った芝の使い道とは？そのまま捨てるのはもったいない理由

芝刈りをしたあとに出る「刈った芝」、あなたはどうしていますか？
そのままゴミに出しているとしたら、実はとてももったいないことをしているかもしれません。刈った芝には多くの使い道があり、肥料・堆肥・マルチング材として庭や畑で活躍するほか、防寒対策や雑草予防、子どもやペットが遊べる空間づくりにも使える万能な資源なのです。

本記事では、誰でも実践できる再利用アイデアから、知らないと損する注意点まで詳しく解説します。

この記事でわかること

刈った芝を再利用する基本的な方法と効果
放置や焼却処分のリスクと法的注意点
家庭ごみとして出す際のポイントと工夫
刈った芝を応用的に使うための実践アイデア

刈った芝の使い道を知れば無駄が減る！基本の活用法とは
刈った芝の使い道でよくある勘違いとその対策
刈った芝の使い道を広げる実践アイデア集
刈った芝の使い道とは？そのまま捨てるのはもったいない理由：まとめ

刈った芝の使い道を知れば無駄が減る！基本の活用法とは

芝生をこまめに手入れしていると、どうしても大量に出てしまう「刈った芝」。この芝をそのままゴミとして処分していませんか？実は、その刈った芝には再利用の価値がたっぷり詰まっており、ちょっとした工夫次第で家庭菜園やガーデニングなど、さまざまな場面で活用できます。特に肥料や雑草対策など、日々の庭仕事に役立てることで、手間やコストを減らしながらもより美しい環境を維持できるのです。

この章では、まずは「基本的な使い道」として、誰にでも実践しやすい3つの再利用法をご紹介します。

芝を庭木や花壇のマルチングに活用する

芝刈りをしたあとに出る「刈った芝」をそのままゴミ袋に入れて捨てていませんか？実は、この芝を活用することで、あなたの庭や花壇がもっと元気で管理しやすい環境になります。最も手軽で効果的な使い道のひとつが、「マルチング材」として利用する方法です。

マルチングとは、植物の根元や土の表面を有機物などで覆う手法で、主に土壌の乾燥防止や雑草の発生抑制に役立ちます。市販のバークチップやウッドチップなどを使うことが多いですが、刈った芝でも同じような効果が期待できるのです。特に、細かくカットされた芝草は地面にしっかり密着しやすく、風などでも飛ばされにくいので、初心者でも扱いやすい素材です。

実際に使う際は、刈った芝をそのまま庭木や花壇の土の上に敷いていくだけ。厚みは1〜2cm程度が目安で、できれば一度天日干しで半乾きの状態にしておくとカビや腐敗を防げます。完全に乾燥させすぎると飛散しやすくなるため、「軽く乾かしてしっとりしている」くらいがベストです。湿った状態で密集させると、通気性が悪くなり、カビやキノコの発生を促してしまうこともあるため、敷き詰める際には少し間隔をあけて空気が通るようにするとよいでしょう。

このマルチングによって、雨の日でも泥はねを防げたり、暑い夏場には土の温度上昇を抑えたりする効果があります。さらに、芝が分解されていくことで、微生物の活動が活発になり、徐々に土壌改良にもつながります。つまり、単なる雑草対策だけではなく、土づくりにも貢献できるというわけです。

また、家庭菜園や鉢植えの植物にも応用可能です。プランターや大型の鉢植えに刈った芝を敷くことで、保湿効果が高まり、頻繁な水やりの手間を減らすことができます。特に真夏の乾燥が厳しい時期には、刈った芝を使ったマルチングは非常に有効です。

このように、刈った芝をマルチングに活用することは、コストをかけずに環境にやさしいガーデニングを実現できる、非常に優れた方法です。少しの工夫で庭全体の印象や管理のしやすさがぐっとアップしますので、芝刈りのたびにゴミとして処分していた方は、ぜひ一度試してみてください。

畑の肥料として刈った芝を利用する方法

家庭で芝刈りをした後に出る「刈った芝」は、ただのゴミと思われがちですが、実は畑や家庭菜園で使える優れた「天然肥料」として活躍します。これは特に、野菜づくりやガーデニングに力を入れている方にとって、非常にうれしい再利用方法です。何より、お金をかけずに土を豊かにできるというのは大きな魅力です。

まず知っておきたいのは、刈った芝には「窒素」が豊富に含まれているということです。窒素は植物の成長を促進する栄養素の一つで、葉を青々と育てるのに不可欠です。特に葉物野菜や草花など、葉を大きく成長させたい植物にはぴったりの養分です。この芝をそのまま肥料として活用することで、追加で化成肥料や堆肥を購入しなくても、ある程度の栄養を補えるというのは経済的にも大助かりです。

使い方としては、いくつかの方法があります。もっともシンプルなのは、乾燥させた刈り芝を畝の間や作物の根元に「敷き草」として撒く方法です。これはマルチングと同様に、雑草の発生を抑えたり、土の乾燥を防ぐ効果も期待できます。さらに時間が経つと芝が土に分解され、窒素分を少しずつ放出してくれます。この分解過程が土中の微生物を活性化させ、自然な土づくりにもつながります。

もうひとつの方法は、乾燥させた芝を「すき込む」やり方です。畝を作る前の段階で、乾燥した芝を耕した土に混ぜ込むことで、土壌改良と同時に肥料効果も得られます。すき込みをする際には、芝が発酵しやすいように他の有機物（落ち葉や米ぬかなど）と一緒に混ぜておくと、より良い土になります。

ただし注意点もあります。刈ったばかりの湿った芝をそのまま厚く敷いたり、すき込んだりすると、通気性が悪くなり、腐敗して臭いや虫の原因になることがあります。必ず天日で2〜3日乾かして、ある程度水分が抜けた状態で使うようにしましょう。完全に乾かす必要はありませんが、手で持って湿っぽくない程度にはしておくと安心です。

また、農薬を使用した芝生の刈り芝を畑に使用するのは控えましょう。農薬成分が野菜などに影響を与える可能性があるため、安全面からも無農薬で管理された芝生の芝を使うのがベストです。

このように、刈った芝を畑の肥料として再利用することで、家庭内の循環型エコ生活を実現することができます。ゴミとして処分するよりも、手元にある自然素材を有効活用することで、地球にも家庭にもやさしいサステナブルなライフスタイルが広がっていきます。

堆肥として再利用する際の注意点（温度や湿度管理）

刈った芝をそのままゴミとして処分してしまうのは本当にもったいないことです。実はこの芝を上手に活用することで、栄養たっぷりの「自家製堆肥（コンポスト）」を作ることができます。とはいえ、芝を堆肥化する際にはいくつか注意すべき点があり、特に「温度」と「湿度」の管理が大きなカギを握ります。

まず基本として、堆肥化とは有機物を微生物の力で分解し、栄養豊富な土壌改良材をつくるプロセスです。刈った芝は水分と窒素分を多く含んでいるため、分解が早く、適切に管理すれば2〜3ヶ月で堆肥として利用できるようになります。しかし、誤った方法で行うと、ただの腐敗物になってしまい、悪臭や害虫の原因にもなりかねません。

最初のステップは、刈った芝を「乾燥」させること。刈りたての芝は非常に水分を含んでいるため、すぐに山積みにすると酸欠状態になり、腐敗してしまいます。ベストな方法は、2〜3日ほど天日で乾かしてから使用すること。軽く干すだけでも、水分量が減り、通気性が改善されて分解が進みやすくなります。

次に重要なのが「炭素と窒素のバランス」です。芝は窒素分が非常に多いため、それだけを堆肥化しようとするとアンモニア臭が出たり、バランスが偏って発酵不良を起こすことがあります。そこでおすすめなのが、落ち葉や段ボール、木くずなど炭素を多く含む「茶色の素材」を一緒に混ぜて使うことです。このバランスが整えば、微生物の活動が活性化し、発酵がスムーズに進みます。

堆肥化中は「温度」と「湿度」にも目を配りましょう。うまく発酵が始まると、微生物の働きによって堆肥の中心部の温度が40〜60℃程度まで上昇します。これが「好気性発酵」のサインで、病原菌や雑草の種子を死滅させる効果もあります。温度が上がらない場合は、水分が多すぎるか、空気が足りていないことが原因です。そんなときは、かき混ぜて空気を入れたり、水分を飛ばすことで対処できます。

湿度の目安は「ぎゅっと握って水がにじむ程度」。乾燥しすぎても発酵が進みにくく、逆に湿りすぎると酸素不足で腐敗してしまいます。定期的に状態を確認し、必要に応じて調整を行いましょう。

また、堆肥を作る場所も重要です。通気性の良い場所で、雨が直接当たらない場所に堆肥ボックスやビニール袋、コンポスト容器などを設置するのが理想です。ベランダや庭の一角であれば、家でも気軽に始められます。1〜2週間に一度程度、全体をかき混ぜる「切り返し作業」も忘れずに行うことで、酸素供給と発酵の均一化が図れます。

最終的に、手触りがサラサラで腐敗臭のない状態になれば、堆肥として完成です。この手間を惜しまずに取り組めば、あなたの家庭菜園や花壇にとって極めて有効な土壌改良材となり、無駄のない循環型の生活が実現できます。

刈った芝という「捨てるはずの資源」を活かして、環境にも家計にも優しいライフスタイルを始めてみませんか？

刈った芝の使い道でよくある勘違いとその対策

刈った芝を再利用する方法を知っても、うまく活用できていないケースも少なくありません。実は、芝の使い方にはちょっとした誤解や思い込みがつきものです。たとえば、「そのまま置いておけば自然と土に還るだろう」「燃やせば一番手っ取り早いのでは？」「とりあえずゴミに出しておけば安心」といった考え方は、一見合理的に見えて、実際は逆効果だったり、法律や環境の面で問題があったりします。

この章では、刈った芝の使い道に関する“よくある勘違い”と、それに対する具体的な対策について詳しく解説します。これまで無意識に行っていた処理方法が、実は芝生や庭、ひいては家庭環境に悪影響を与えているかもしれません。この機会にしっかりと正しい知識を身につけて、より快適で無駄のない暮らしに役立てていきましょう。

放置すると逆効果？病気や虫のリスク

芝刈りをした後、そのまま地面に刈った芝を放置している方は意外と多いかもしれません。たしかに、「自然に分解されて土に戻るなら、それでいいのでは？」と思うかもしれません。しかし、これが実は非常に危険な行動であることを知っておく必要があります。

まず、刈った芝をそのまま芝生の上に放置すると、通気性が悪くなり、地表面の湿度が異常に高まります。これによって発生しやすくなるのが、「病気」と「害虫」です。特に日本の梅雨時や真夏の高温多湿な環境では、菌類やカビが一気に繁殖しやすくなり、「葉腐病」や「さび病」などの芝生病害の原因となります。また、刈った芝の隙間に虫が住みつくことで、コガネムシの幼虫やダニ、ハエの発生にもつながります。

さらに、放置された芝は下の生きた芝に光を遮ってしまい、せっかく育てた芝生が黄色く変色してしまう原因にもなります。とくに密集した部分や影の多い箇所は蒸れやすく、悪循環が続いてしまいます。放置しておけば分解されるどころか、むしろ芝生の健康を大きく損ねることになりかねません。

このようなリスクを避けるためには、まず刈った芝はできる限りすぐに集めて処理することが重要です。集めた芝は、先述のようにマルチング材や堆肥、肥料として再利用できますが、もし使う予定がない場合でも、きちんと乾燥させてから処分するか、自治体のルールに従って適切にごみ出しするようにしましょう。

また、定期的に芝刈りを行い、「刈りすぎない」ようにすることもポイントです。一度に大量の芝が出ると処理に困ってしまうので、こまめに芝を整えることで無理なく管理ができます。特に梅雨や夏場は、こまめな手入れが病気予防にも直結します。

「ただ放置しておけば自然に戻る」という誤解は、多くの芝生トラブルの原因となっている代表例です。健康で美しい芝生を維持するためには、刈った芝の正しい取り扱いと、適切な手入れの知識が欠かせません。

燃やすのはOK？NG？法律とマナーの観点

刈った芝の処理方法として、「燃やしてしまえば早いのでは？」と考える方も少なくありません。確かに、家庭で出た草木ゴミや枯れ葉などを燃やす光景は、かつては田舎の暮らしの中でよく見られるものでした。しかし現在では、この「野焼き」には注意が必要です。単純に燃やすことが許されないケースも多く、法律や地域のルール、そしてご近所への配慮が求められます。

まず、法的な観点から見ていきましょう。日本では「廃棄物の処理及び清掃に関する法律（通称：廃掃法）」により、原則として野焼きは禁止されています。ただし、例外として農業・林業などの営農活動に伴う焼却や、風俗習慣上または宗教行事などの必要な焼却、そして軽微な日常生活の一環としての焼却（例：暖をとるための焚き火など）は、ある程度容認されています。

しかし、たとえ例外に該当するとしても、煙や臭いで近隣住民に迷惑がかかれば、それは立派な「迷惑行為」としてトラブルの元になります。特に都市部や住宅密集地では、庭での焼却行為に対して厳しい目が向けられることも多く、「洗濯物に臭いがついた」「煙が家に入ってきて困る」といった苦情につながるケースが増えています。

また、刈った芝をそのまま燃やすと、含まれる水分によって燃えにくく、煙が大量に出やすいという特徴があります。湿気を帯びたまま燃やすことで不完全燃焼が起こり、刺激臭のある煙が発生してしまうことも。こうした煙は人体に有害な物質を含むこともあり、健康被害の原因になる可能性すらあります。

仮に「うちは田舎だから大丈夫」と思っていても、消防署の火災警戒情報や、風向き・天候によっては火災に発展する危険性もあるため、十分な注意が必要です。とくに乾燥した日には火が想像以上に広がりやすく、小規模な焼却が大きな事故につながることも。地域によっては、事前に自治体への届け出や、焼却の禁止を明示した条例が設けられている場合もあるので、必ず自治体の指示を確認しましょう。

環境への影響も無視できません。焼却によって排出される二酸化炭素（CO2）は地球温暖化の原因にもなりますし、草木を燃やすことで地中の微生物や小動物の生態系にも悪影響を与える可能性があります。

以上のことから、「燃やす」という選択肢は一見便利に見えても、リスクやデメリットが非常に大きい処理方法だといえます。どうしても焼却したい場合は、あくまで例外的な手段として、法令を確認したうえで安全かつ周囲に配慮した方法を選びましょう。可能であれば、マルチング材や堆肥、肥料など、より安全で持続可能な使い道にシフトするのが、これからの時代に合った選択肢です。

刈った芝を家庭ごみとして捨てる時の工夫

刈った芝の再利用が難しい、もしくは再利用の余裕がない場合、多くの方は「家庭ごみとして処分する」選択をされるかと思います。実際、庭仕事をしていると予想以上に大量の芝が出ることがあり、すべてを活用するのが難しいこともあります。しかし、この「捨てる」という行為にも、ちょっとした工夫を加えることで、手間を減らしたり、ごみの量を削減したりすることが可能です。

まず大前提として、芝生などの草類は多くの自治体で「可燃ごみ（燃えるごみ）」または「資源ごみ」として収集されますが、その分別方法や収集ルールは地域によって異なります。たとえば、袋の指定、収集日、出せる量の上限、芝の状態（乾いているか、湿っているか）などに細かな決まりがあることが多いため、必ず一度、自治体の公式サイトやゴミ分別アプリなどでルールを確認しましょう。

特に注意したいのは、刈ったばかりの芝をそのままゴミ袋に詰めて出してしまうこと。芝は刈った直後、非常に水分を含んでおり、そのまま袋に入れて密閉すると内部で熱がこもり、雑菌の繁殖や悪臭の原因になります。夏場など気温の高い時期には、袋の中が腐敗し、開けた瞬間に強烈なにおいがする…なんてことも。

このようなトラブルを避けるためには、刈った芝はまず天日干しで「軽く乾かしてから」袋に詰めるのが鉄則です。1〜2日程度、風通しの良い場所に広げておけば、水分が飛んでずっと扱いやすくなります。また、新聞紙や古紙を混ぜておくと水分を吸収しやすく、においの発生も抑えられます。

芝を捨てる際のボリューム削減も重要です。芝は軽いけれどかさばりやすく、ゴミ袋の容量を圧迫しがち。そんな時におすすめなのが「芝を踏み固めて圧縮する」方法です。足で踏んで空気を抜いてから袋に入れるだけでも、体積を半分以下に抑えることができます。さらに、コンパクトな束にしてヒモで結んでおくと、持ち運びもしやすくなり、ゴミ集積所での見栄えも良くなります。

また、定期的に芝刈りをすることで、一度に出る芝の量を減らすという工夫も有効です。たとえば1週間おきに軽く刈る習慣をつけることで、毎回の処理が楽になるだけでなく、芝自体の状態も良く保つことができます。芝生の管理とごみ処理の負担が同時に軽減される、まさに一石二鳥の方法です。

最後に、地域によっては「資源回収所」で芝や落ち葉などの植物性廃棄物を回収・堆肥化してくれる取り組みを行っている自治体もあります。お住まいの地域にこうした制度がある場合は、家庭ごみとして出すよりも、環境に配慮した方法として積極的に活用してみてください。

ゴミとして捨てるしかないときも、ほんの少しの工夫で手間やコスト、そして環境への負荷を減らすことができます。使わないからといって無造作に捨てるのではなく、最後まで丁寧に処理することが、持続可能な暮らしへの第一歩です。

刈った芝の使い道を広げる実践アイデア集

ここまで紹介してきた刈った芝の基本的な活用法に加えて、「もっと自由な発想で芝を活かしたい」と考えている方もいるのではないでしょうか？
実は、刈った芝にはまだまだたくさんの可能性が眠っており、工夫次第で家庭内の資源循環をさらに促進するアイデアがいくつもあります。単に「捨てるか、肥料にするか」だけではなく、ちょっとした設備や道具を取り入れることで、より効率的で、環境にも優しい生活が実現できるのです。

この章では、日常生活に取り入れやすい3つの応用的な使い道を紹介します。コンポストや生ごみ処理機との併用、雑草や寒さ対策としての利用、そして少しユニークな「遊び」や「景観づくり」としての活用まで、実用的でかつ楽しく取り組めるアイデアをお届けします。

コンポストや生ごみ処理機との併用術

生ごみの処理で悩んでいるご家庭にとって、刈った芝は非常に頼もしい「補助素材」になります。コンポストや家庭用生ごみ処理機を使っている方であれば、「生ごみだけだと臭いや液だれが気になる」「分解が遅い」といった悩みを抱えている方も多いはず。そこに、刈った芝を加えることで、発酵がスムーズに進みやすくなるのです。

芝生は水分を多く含んでいますが、天日である程度乾燥させた状態にしておけば、炭素源として機能するようになります。これは、分解のバランスをとる上で非常に重要なポイントです。コンポストに入れる素材は、「炭素：窒素＝30：1」のバランスが理想とされています。家庭の生ごみは窒素が多く、このままだと発酵不良を起こしたり、嫌な臭いを発したりすることがあります。ここに乾燥した芝を加えることで、炭素の割合が増し、適切なバランスが保てるようになります。

また、芝には繊維質が多く含まれており、生ごみと混ぜることで「通気性の良い状態」をつくりやすくなります。通気性が良くなると、嫌気性（酸素がない状態）による腐敗を防ぐことができ、発酵が進みやすい好気性の環境が整います。これにより、コンポストの中身の温度も上がり、より短期間で堆肥が完成しやすくなるのです。

生ごみ処理機と併用する場合も同様で、処理機から出た乾燥物に芝を混ぜておくことで、保管中の臭い防止や水分調整に役立ちます。特に電気式の処理機では、水分が多すぎるとセンサーがうまく作動しないこともあるため、芝を混ぜることで機械の不調も防げるというメリットもあります。

さらに、刈った芝は見た目にも「自然素材らしさ」があり、堆肥の外観を整える効果もあります。これは、家庭菜園を楽しむ方にとって、非常にうれしいポイント。手作り堆肥に対しての抵抗感が減り、庭の美観を損ねることなく再利用を促進できます。

このように、コンポストや生ごみ処理機との併用は、単にごみを減らすだけでなく、より効率よく堆肥を作るための「ひと工夫」として大いに役立ちます。手軽に始められて、環境にも優しいこの方法、ぜひあなたの家庭にも取り入れてみてください。

雑草対策や防寒用としての応用例

刈った芝の使い道として意外と知られていないのが、「雑草対策」や「防寒用」としての利用です。
この方法は特に庭や畑を管理している方にとって、手間をかけずに効率よく地表のコンディションを整えるための強い味方になります。見た目を損なうことなく、環境にも優しく、さらにコストを抑えられるという嬉しい使い方なのです。

まず、雑草対策としての利用方法について解説しましょう。
地面に刈った芝を敷くだけで、雑草の発芽を大きく抑えることができます。これは芝が地表を覆うことで、日光が土に届かなくなり、雑草の成長に必要な光合成が妨げられるためです。つまり「光を遮る＝草を生やさない」という自然な仕組みを応用した方法です。

特に春から夏にかけての雑草が一気に繁茂する時期には、雑草抜きが追いつかなくなることもしばしば。そんなとき、植木の根元や畑の畝間、歩道の脇などに刈った芝を敷いておくだけで、手間のかかる草取りの回数を減らせます。これは、高齢の方や小さなお子さんがいる家庭にとっても、身体の負担が軽くなる嬉しい工夫です。

また、刈った芝が時間とともに分解されていく過程で、土に緩やかに栄養を補給してくれる効果もあります。ただし、湿った状態で厚く敷きすぎるとカビや虫の原因になるため、必ず乾燥気味の芝を薄く均一に敷くようにしましょう。これにより通気性を保ちつつ、地表を適度にカバーすることができます。

次に、防寒用としての活用についてもご紹介します。
冬季、特に霜が降りる地域や冷え込みの厳しい地方では、植物の根元を保温することが重要になります。そこで刈った芝が「天然の断熱材」として役立つのです。乾燥させた芝を、花壇や鉢植えの土の表面にふんわりと覆うように敷くだけで、急激な冷気から植物の根を守ることができます。

また、家庭菜園で冬野菜を育てている場合、刈った芝を敷いておくことで霜柱による根の持ち上がりや凍結を防ぐ効果も期待できます。これは特に、大根やにんじんなど、根菜類の生育を安定させたいときに重宝するテクニックです。

さらに嬉しいポイントは、マルチング用の市販資材（バークチップや藁など）に比べて、刈った芝は「手に入りやすくコストゼロ」という点です。自宅の庭で出た芝をそのまま活用できるので、資源の循環という意味でも非常にエコロジカルな方法だといえるでしょう。

このように、雑草対策と防寒対策という2つの異なる目的に、同じ刈った芝を活用できるのは非常に合理的です。土を守り、植物を守り、自分の時間と手間も守ってくれる――まさに一石三鳥のアイデアです。芝刈りをしたその日からすぐに実践できる手軽さも魅力ですので、ぜひ試してみてください。

子どもやペットと遊べる空間づくりにも

刈った芝の使い道というと、どうしても「庭仕事」や「堆肥」など、作業的なイメージが強くなりがちですが、実はもっと“暮らしを楽しむ”ための用途にも応用できるのをご存じでしょうか？たとえば、小さなお子さんがいるご家庭や、犬や猫などのペットと一緒に過ごす庭では、刈った芝を「遊び場づくりの素材」として活用することができます。

まず、芝を敷いた場所は、クッション性があり柔らかいので、子どもが転んでもケガをしにくい安全な環境を作ることができます。特に、木の枝や砂利が散乱している庭では、ちょっとした滑り台やジャングルジムを置くだけでも不安を感じることがありますよね。そんな時に、刈った芝をしっかり乾燥させてから、適度な厚みで地面に敷くことで、手軽に「ナチュラルなクッション材」として機能させることができます。

また、芝の独特な感触や香りは、子どもの五感を刺激する自然素材としても効果的です。裸足で歩かせたり、芝の上に寝転がったりといった遊びの中で、自然と触れ合う体験が生まれます。市販の人工芝にはない、自然ならではの風合いを楽しめる点も、刈った芝ならではの魅力です。

ペットを飼っているご家庭にも、刈った芝の再利用はおすすめです。特に犬を庭で遊ばせる際には、地面が硬いと関節に負担がかかることがありますが、芝を敷くことでそれを軽減できます。さらに、刈った芝が地面の泥はねや土埃を防ぐ役割を果たしてくれるため、遊んだあとに犬の足が汚れにくくなるという利点もあります。

注意点としては、あくまで「乾燥させた芝」を使うこと。湿った状態のまま敷くと、虫が湧いたり、臭いが出たりする原因になるため、天日でよく干してから使うようにしましょう。また、厚く敷きすぎるとペットが口に入れてしまうこともあるため、敷く厚みは1〜2cm程度を目安にしておくと安心です。

遊び場の一部に芝を取り入れるだけで、空間に温かみが生まれ、視覚的にもやさしい印象になります。ウッドデッキやタイルの硬質な空間とは異なり、芝の柔らかい緑色がリラックス効果をもたらしてくれるのも大きなポイントです。ガーデンパーティーやバーベキューなど、家族での屋外イベント時にも、芝を敷いておくと清潔感が増し、座るスペースとしても活用できます。

刈った芝は「ごみ」ではなく、「暮らしを豊かにする素材」です。少しのアイデアと手間を加えることで、子どもやペットと一緒に楽しめる空間を簡単に作り出すことができます。庭づくりに少し遊び心を加えたいときに、ぜひ試してみてください。