台風が発生すると、ニュースなどで「台風10号・ハイシェン」といったように、番号とともに名前が紹介されます。実はこの名前や番号の付け方には、国際的なルールと歴史的な背景があるのをご存知でしょうか?
この記事では、「台風名前 付け方」というテーマに沿って、番号の決まり方や名前の由来、命名のルールなどをわかりやすく解説しています。台風の仕組みに関心がある方や、防災意識を高めたい方にも役立つ内容です。
この記事でわかること
-
台風の番号はどうやって決まっているのか
-
台風の名前(アジア名)はどのように選ばれているのか
-
日本が提案した台風名とその意味
-
被害が大きいと「引退」する台風名の仕組み
台風名前の付け方と番号の決まり方は誰がどう決めている?

台風台風には「台風1号」などの番号と、「マリクシ」や「コグマ」といった名前が付いているのを見たことがあるかと思います。これらは実は、明確なルールと国際的な取り決めによって決められているのです。本記事では、台風の名前や番号の付け方について、わかりやすく解説していきます。
台風番号はどうやって決まる?
台風の番号は、毎年1月1日から始まる「発生順」によって決定されます。最初に発生した台風が「台風1号」、次に発生したものが「台風2号」と、単純にその年に発生した順番で番号が振られていくのです。なお、台風は「熱帯低気圧」のうち、風速が一定以上になったものが対象となるため、すべての熱帯低気圧に番号が付くわけではありません。
気象庁では、台風の発生を衛星画像や観測データをもとに判断し、公式に「台風○号」と発表します。番号のカウントは毎年リセットされるため、前年の番号とは連続しません。これにより、その年に発生した台風の件数もすぐに把握できます。
また、日本だけでなく、アジア各国で共通の番号が使われており、国際的にも整合性が取れる仕組みになっています。ニュースでよく耳にする「台風○号」は、そうした国際的な取り決めに基づいているのです。
台風のアジア名のルールと仕組み
台風には番号だけでなく、「アジア名」と呼ばれる固有の名前も付けられています。これは、2000年以降に導入された制度で、それまではアメリカが中心となって英語名(例:ジョージ、ナンシーなど)を付けていました。
アジア名は、アジア太平洋地域の14の国と地域が提案した「140個の名前リスト」から、発生順に順番で使われていきます。一度すべて使い終わると、また最初の名前に戻って繰り返されます。つまり、同じ名前が数年おきに再び登場する可能性があるのです。
このリストには、動物や植物、伝説、地名など各国の文化や自然を反映した名前が多く含まれています。例えば、日本が提案した「コグマ」「ウサギ」などは、いずれも星座に由来しています。名前はアルファベットで表記され、カタカナ表記も用意されています。
気象庁や世界気象機関(WMO)がこのリストを管理し、順番通りに名前を割り当てることで、アジア地域の国々が情報を共有しやすくなっているのです。
台風名を提案した国とその意味
アジア名リストの140個の名前は、WMO台風委員会に加盟する国々によって提案されました。具体的には、日本・韓国・中国・フィリピン・タイ・ベトナム・マレーシア・インドネシア・ラオス・カンボジア・香港・マカオ・北朝鮮・アメリカ(グアム)などの14の国と地域です。
各国は、10個ずつの名前を提出しており、それぞれに固有の意味があります。たとえば、中国が提案した「マリクシ」は山の名前、タイの「コンパス」は魚の名前、日本の「ウサギ」は星座に由来するなど、国ごとに文化や自然が反映されています。
また、非常に大きな被害をもたらした台風の名前は、その国の要請によって「引退」することがあります。引退した名前はリストから外され、新しい名前がその国から再提出されます。こうした取り組みによって、台風名には単なるラベル以上の意味が込められているのです。
台風名前の付け方の背景と歴史を知ろう

台風に名前が付けられるようになった背景には、単なる識別だけでなく、情報の伝達や災害への備えをよりスムーズにする目的があります。特にアジア名の導入には、国際的な協力体制の整備や過去の命名方法の見直しといった歴史的な経緯があるのです。この章では、台風名前の付け方の成り立ちと、どのようにして現在の方式に至ったのかを振り返っていきます。
なぜアジア名が導入されたのか?
かつて台風には、アメリカが中心となって付けた英語名(例えば「ベス」「カトリーナ」など)が使われていましたが、これはアジア地域の文化や言語に馴染みにくく、情報の共有にも支障をきたしていました。こうした課題を解決するために、2000年からアジア太平洋地域の国々が連携し、「アジア名」を導入することになったのです。
この新しい命名方式では、参加国が提案した名前をリスト化し、順番に使用することで、公平性と多様性を確保しています。名前にはそれぞれの文化や自然、動物、伝説などが反映されており、地域に根ざした表現が可能になりました。
アジア名の導入によって、各国での台風情報の伝達がよりスムーズになり、災害への迅速な対応が期待できるようになったのです。
英語名からアジア名に変わった理由
英語名を用いた従来の方式には、いくつかの課題がありました。例えば、英語が母国語ではない国々では発音しづらく、国民への周知に時間がかかることや、名前から台風の規模や危険度が想像しづらいという問題がありました。また、一部の名前が繰り返し使われて混乱を招くこともありました。
これに対し、アジア名は提案国ごとに意味や由来が明確にされており、発音もその国の言語に合ったものが多くなっています。たとえば、日本が提案した「ウサギ」や「ヤマネコ」などは、視覚的なイメージがしやすく、台風への注意喚起としても効果的です。
こうして、国際的な情報伝達の精度を高める目的で、アジア名への移行が進められたのです。
台風の名前はいつから使われている?
台風に名前を付けるという発想は、第二次世界大戦中のアメリカ軍が始めたとされています。当時は軍事通信の効率を高めるために、女性の名前がランダムに使われていました。その後、1950年代に入って正式に気象庁でも名前の使用が始まり、1979年からは男女の名前が交互に使用されるようになります。
しかしこの方式では、英語名に偏っていたため、1990年代からアジア諸国の中で名称に対する違和感が表面化しました。そこで2000年、WMO(世界気象機関)の主導により、アジア地域による名前の共有リストが導入されることになったのです。
このように、台風の名前は時代とともにその目的や形を変えながら、現在のアジア名方式へと発展してきました。
台風名前の付け方の一覧や例を紹介

台風の名前はニュースなどで耳にすることも多いですが、「どんな名前があるの?」「日本が提案した名前って何?」と疑問に思ったことはありませんか? 実際に使用されている名前の一覧やその意味を知ることで、台風に対する理解が深まり、防災意識も高まります。この章では、現在使われている台風名の例や、日本が提案した名前の特徴、そして引退した名前についてもご紹介します。
現在使用されている台風名の一例
現在、台風の名前として使用されているのは、アジア太平洋地域の14の国と地域が提案した140個の名前です。このリストは2000年に運用が開始され、発生順に名前が付けられていきます。すべて使用されると最初に戻り、繰り返し使用される仕組みです。
名前の例としては、「マリクシ(マレーシア提案)」「バービー(中国提案)」「ヨンギ(韓国提案)」などがあります。これらの名前には、山や動物、花、伝説などの要素が含まれており、各国の文化が反映されているのが特徴です。
気象庁の台風情報では、番号とともにこのアジア名も併記されており、国際的な情報共有に役立っています。
日本が提案した台風名とその由来
日本が提案した台風名は、全部で10個あり、星座をテーマにしています。
以下がその一覧です
-
コグマ(こぐま座)
-
ウサギ(うさぎ座)
-
ヤギ(やぎ座)
-
トカゲ(とかげ座)
-
カジキ(かじき座)
-
クジラ(くじら座)
-
コイヌ(こいぬ座)
-
コト(こと座)
-
トケイ(とけい座)
-
ヤマネコ(やまねこ座)
これらの名前は、可愛らしい響きのものが多く、「台風にしては弱そうに聞こえる」と話題になることもあります。ただ、覚えやすく、親しみやすいという点で有効な側面もあり、日本らしいユニークな命名方針だと言えるでしょう。
また、日本の提案名は五十音順ではなく、WMOが定めた順番に組み込まれて使われています。
引退した台風名とその理由
台風の名前の中には、一度使われた後に「引退」となるものがあります。これは、その台風が甚大な被害をもたらし、名前を再使用することで被災者の心情を傷つけたり、混乱を招いたりする可能性があると判断された場合に行われます。
引退した台風名の例としては、2006年の「デュリアン(Durian)」があります。これはフィリピンなどで大きな被害をもたらし、名前の再使用を避けるために削除されました。引退となった場合、その国が新しい名前をWMOに提案し、リストが更新されます。
この制度により、台風名には単なる識別以上の意味が生まれ、災害の記憶や教訓を継承する仕組みとしても機能しています。
台風名前の付け方と番号の決まり方:まとめ
この記事のポイントをまとめます。
-
台風の番号はその年の発生順で付けられる
-
台風の名前にはアジア名が使用されている
-
アジア名は14の国と地域が10個ずつ提案した全140個
-
名前はリスト順に繰り返し使用されている
-
日本が提案した名前は「星座」をテーマにした10個
-
英語名からアジア名に変わったのは2000年から
-
台風名には各国の文化や自然が反映されている
-
被害の大きかった台風名は引退し、再使用されない
-
台風名の導入で災害情報の伝達がスムーズになった
-
名前を知ることで防災意識を高めることができる
台風の名前や番号の付け方には、単なる識別以上の意味が込められています。文化や歴史、そして災害への備えという視点からも、台風名は私たちにとって重要な情報のひとつです。ニュースで見かけた名前にも、そんな背景があると思うと少し見方が変わってくるかもしれませんね。これから台風シーズンを迎えるにあたって、ぜひ知識として覚えておきたい内容です。

